Mac OS X 10.0〜10.12の歴史を振り返ってみる
Mac OS Xの歴史
アップルが6月10日に「WWDC 2013」を開催する予定ですが、次期OSXとなる「OS X 10.9」の発表が行われます。おそらく最後のOS Xとなるだろうと予測ができますが(OS X 10.10ってなるなら別ですが)、ここでOS Xの歴史を少し振り返ってみます。
追記(2016.12):この記事を書いてかなりの年月が経過したので内容を見直しました。2014年10月に11番目のメジャーアップデートとなるOS X Yosemite 10.10がリリースされ、2015年10月にOS X El Capitan 10.11がリリース、そして、2016年10月に名称をOS XからmacOSに改めたmacOS Sierra 10.12がリリースされました。
Mac OS Xとは
Mac OS Xは故スティブジョブス氏がアップルを追われ創業したNeXT社のOPENSTEP技術がベースとなったOSでBSD UNIXベースのオペレーションシステムとなっています。
Mac OS9以前のOSはシングルユーザー、シングルタスクが前提で設計されたものでしたが、OS Xではマルチユーザー、マルチタスクを前提とした先進的なOSとして開発され、旧Mac OSよりも非常に安定したOSとなっています。
Mac OS X Public Beta
Mac OS X Public BetaはMac OS Xの一番最初のバージョンです。2001年の販売予定のMac OS X v10.0に先駆けて発売をしてユーザーに試用してもらい情報のフィードバックのために提供されました。
- コードネーム:Kodiak(コディアックヒグマ)
- 発売日:2000年9月13日
- 価格:3,200円
OS XのコードネームはOS X 10.8まではネコ科が伝統となっていましたが、一番最初のバージョンではヒグマがコードネームとして採用されていました。
初めて美しいAquaインタフェースが公開され衝撃を与えましたが、ベータ版なのに有料だったことも驚きです。純粋なAquaインターフェイスはMac OS X v10.2まで採用されることになります。
Mac OS X 10.0
- コードネーム:Cheetah(チーター)
- 発売日:2001年3月24日
- 価格:14,800円
- バージョン:v10.0 〜 v10.0.4
Mac OS X v10.0よりネコ科のコードネームが採用されるようになり第1弾としてチーターが選ばれています。
UIデザインはAquaが採用され、Windows XPが全盛の当時としては非常に美しいUIであったことから、デザイン関係の処理をするならMacというイメージはさらに大きくなったようにも感じます。
ベータ版からさらに改良を重ね安定性が向上しましたが、DVD再生機能などがなく処理スピードも非常に遅かったり要求されるスペックも128MBのRAMが必要など完成度はまだまだ低かったバージョンです。
Mac OS X 10.1
- コードネーム:Puma(ピューマ)
- 発売日:2001年9月25日
- 価格:14,800円
- バージョン:v10.1 〜 v10.1.5
10.0のユーザーに対しは無料で更新することができ、DVD再生機能などの基本的な機能が追加されシステム性能も大幅に向上され実用的に利用できる初めてのバージョンとなりました。
またマイクロソフトやAdobeからも対応ソフトが提供され実用性も増しました。
Mac OS X 10.2
- コードネーム:Jagar(ジャガー)
- 発売日:2002年8月24日
- 価格:14,800円
- バージョン:v10.2 〜 v10.2.8
日本では商標の問題で Jaguar は製品名には付けられませんでした。
スプリングフォルダ機能が復活などFinder機能の改良がされMac OS Xを業務用途でも使用するユーザーが増えました。また、「Quartz Extreme」が初めて採用されビデオチップを利用してCPUの負荷を軽減する機能が実装されました。
また、今ではiOSにも標準搭載をしているウェブブラウザ「Safari」が始めて登場したバージョンでもあります。
Mac OS X 10.3
- コードネーム:Panther(パンサー)
- 発売日:2003年10月24日
- 価格:14,800円
- バージョン:v10.3 〜 v10.3.9
システムの安定性や処理速度がさらに向上し、デザイン、出版分野への導入が進みました。OSXではおなじみの機能「Exposé」が初めて搭載されたバージョンとなります。また、v10.3から金属表面のヘアライン処理を意識した”Brushed Metal”とよばれるインターフェイスが採用されました。
Mac OS X 10.4
個人的に、このバージョンからMacを使い始めました。現役で当時のiMacがまだ動作しているので、OS X 10.4からオリジナルのスクリーンショットを交えて紹介をしたいと思います。
- コードネーム:Tiger(タイガー)
- 発売日:2005年4月29日
- 価格:14,800円
- バージョン:v10.4 〜 v10.4.11
リアルタイムイメージングインタフェース「Core Image」「Core Video」64ビットオーディオインタフェース「Core Audio」モデルレイヤ「Core Data」が導入されました。
デスクトップ画面は初期のOS Xの流れを継いだデザインとなっており、2DのDockはこのバージョンが最後となり、のちのリリースされるOS X Yosemiteまで3DのDockが採用されることになります。
Exposéはすべてのウィンドウが表示される形式です。
FinderはAquaデザインを継承しつつBrushed Metalデザインが採用されています。
ただし、iTunesのUIに関してはBrushed Metalデザインではなくスッキリしたデザインが採用されており、のちのMac OS X 10.5で採用されるデザインを先駆けたものになっています。
カレンダーはiCalという名称で存在しておりデザインも今とはかなり異なるものになっています。
機能面も現在のバージョンに繋がる機能が追加され検索機能「Spotlight」、WebKit ベースのアプリケーション実行環境「Dashboard」ウェジェットなどが搭載されています。
環境設定画面は基本項目は現在とさほど変化ありませんが、項目は少ないです。
また、2006年以降のMacよりインテルプロセッサへ移行され、インテル対応版 Mac OS X が搭載されました。インテル対応版 Mac OS X Tiger は単体で販売されていませんでしたが、PowerPCの互換性を維持するためにRosetta(ロゼッタ)を搭載し、Intel Mac でも今までの PowerPC アプリケーションが利用できる画期的なシステムを採用ています。
なお、Rosettaはv10.7で廃止されています。
Mac OS X 10.5
- コードネーム:Leopard(ヒョウ)
- 発売日:2007年10月29日
- 価格:14,800円
- バージョン:v10.5 〜 v10.5.8
Mac OS X Leopardは「300 を超える新機能」をキャッチフレーズにリリースされ、Mac OS 9.2.2を動かすためのClassic環境が排除されOS全体(一部を除き)が64ビットに対応し大きく進化を遂げたものとなりました。
インターフェイスがAquaデザインとBrushed Metalデザインが統合され現在(OS X 10.9まで)に近いデザインに変更されました。また、Dockのデザインが平面的なものから奥行きのある3D Dockに変更され、標準の壁紙が宇宙をベースのデザインに変更されます。
Finderのデザインもスッキリとしたものに。
Coverスタイルの表示をすることも可能になりました。
iTunesはMac OS 10.4で先駆けてBrushed Metalデザインから脱却していたので雰囲気はあまり変わっていないですね。
Exposéの画面もさほど変化ありません。
システム環境設定のウィンドウです。
新機能として、バックアップ機能「Time Machine」、仮想デスクトップ「Spaces」、Windows起動ツール「Boot Camp」、Finderから直接ファイルの中身を確認できる機能「Quick Look」、Finderの表示方法に「Cover Flow」が追加されるなど、現在でも多く利用可能な機能が数多く登場したバージョンとなります。
Mac OS X 10.6
- コードネーム:Snow Leopard(雪ヒョウ)
- 発売日:2009年8月26日
- 価格:3,300円
- バージョン:v10.6 〜 v10.6.8
Mac OS X Snow Leopardではさらに64bit化が進み安定性とパフォーマンスの向上に注視したOSとなっており、PowerPCのサポートが対象外となり Intel Mac 専用となったためオペレーティングシステム全体が大幅に小さくなりました。マルチコアCPUに効率よく対応するための「Grand Central Dispatch」や GPU に演算処理をすることができる「Open CL」を搭載しました。また、FinderがCocoaベースで作り直され表示や処理の速度が高速化がされました。
デスクトップ画面はMac OS X Leopardとほぼ同じでブラッシュアップバージョンとなっており、非常に安定したOSへと進化しています。
iTunesです。
システム環境のデザインも基本的には同じでアイコンが微妙に変化しているでしょうか。のちのiCloudになるMobileMeの設定項目が追加されていることがわかります。
v10.6.6からは、アプリケーションをダウンロードできる「Mac App Store」が利用可能となりした。また、このバージョンから価格が見直され3,300円とかなり安い価格でアップデートができるようになりました。
32bitプロセッサの対応が10.6までとなったことで初期型のIntel Macは10.7以降のOSにアップグレードできなくり、現在でも使用しているユーザーは多数おりアップデートが進まない現状があります。
OS X 10.7
- コードネーム:コードネーム:Lion(ライオン)
- 発売日:2011年7月
- 価格:2,600円
- バージョン:v10.7 〜 v10.7.5
OS X Lionは名称にMacが消えたはじめてのバージョンとなり、光学メディアによる販売を廃止しMac App Storeでのダウンロード販売とUSBメモリのみで提供されました。v10.4とv10.5からのインストールはv10.6環境が必須となっており現在でもv10.6は1,700円で購入することができるようになっています。
デスクトップ画面のデザインは基本的にはOS X 10.5からのものが引き続き採用されています。
完全に64bit環境への移行がされ、32bitプロセッサを搭載したMacはインストールできなくなりました。Exposé、Dashboard、Spacesの各機能は新たな「Mission Control」に統合され、ウィンドウのフルスクリーンモード、ランチャーである「Launchpad」、iOSとの連携ができる「iCloud」、MacBookPro Retinaモデルの登場に合わせて高解像度(HiDPI)モードのサポートなどがされました。
インターフェイスデザインは、ウインドウのスクロールバーがiOSで利用されているオーバーレイスクロールバーとなり Mac OS X の象徴だったAquaデザインの原型はほぼ姿を消すこととなります。
アプリアイコンを一覧表示できるLaunchpadはトラックパッドから簡単に起動することができ、iOSに一部の機能が今後移植されることになります。
iTunesの画面です。各アプリの右上には矢印のアイコンが追加されフルスクリーンモードに切り替えることも可能に。
システム環境設定の項目は現在のものに非常に近い形になり、iCloudの項目が追加されています。
また、ストレージ容量を視覚的に識別することが可能に。
このバージョンからカレンダーのiCalや連絡帳といったアプリのデザインが本物の素材風に見せるデザインが採用されています。
OS X 10.8
- コードネーム:コードネーム:Mountain Lion(ピューマ)
- 発売日:2012年7月25
- 価格:1,700円
- バージョン:v10.8 〜 v10.8.5
OS X Mountain LionはOS X Lionで追加されなかったiOSアプリや、iOS 5で追加されたアプリ・新機能が中心にアップデートされiOSとの協調性が進んだバージョンとなりました。
UIデザインは基本的には変化していませんが、3D-Dockのデザインが少し丸みを帯びたもものに変更されたり、OS X Lionで大規模アップデートを行って損なわれたシステムの安定性がかなり改善されたバージョンとなりました。
ミッションコントロールの背景が少しだけ暗くなるなど微妙なデザイン変更が実施されています。
iTunesに関しては大きくUIデザインが変更されておりよりスタイリッシュなデザインに。
システム環境設定。
iOSからメモアプリが移植された初めてのバージョンで、本物のメモ帳のようなデザインとなっています。
OS X Mavericks
- バージョン:10.9
- リリース日:2013年10月22日
- 価格:無料
- バージョン:v10.9 〜 v10.9.5
OS X 10.9より伝統のネコ科のコードネームは廃止されカリフォルニア州の海岸の名称になりました。また、同バージョンよりiOSと同じように無料でアップデートすることが可能になったはじめてのバージョンとなりました。
OS X MavericksはUIデザインの変化はほとんどありません。
カレンダーや連絡帳などの一部のアプリでシンプルなデザインに変更されるなどiOS7のフラットデザインの影響を受けています。
メモアプリも色合いはまだ残っていますが、シンプルなデザインに変更されています。
機能面ではiOSのiCloudとの親和性をさらに進められiBooksやApple独自の地図アプリなどが追加されてた入り、通知機能が搭載されました。
システム面においても大きく進化を遂げ、CPUの電力効率の改善すべくタイマーコアレッシング、ウインドウの背面に隠れているアプリの処理速度を低下させるApp Nap、非アクティブのアプリのメモリを自動的に圧縮する圧縮メモリなどの機能が新たに搭載されるなど基本性能を磨いたバージョンとなっています。
OS X Yosemite
- バージョン:10.10
- リリース日:2014年10月16日
- 価格:無料
- バージョン:v10.10 〜 v10.10.5
OS X YosemiteはUIデザインを大きく刷新されiOS7・iOS8に採用されているフラットデザインを取り入れられています。システムフォントは「Lucida Grande」から「Helvetica Neue」に変更されRetinaディスプレイに合わせたデザインへ移行しています。
ファインダーのデザインも大幅に刷新されてシンプルなものに。
機能面ではiCloudとの親和性を更に進められiPhoneの電話を引き継ぐ事ができたりSafariの閲覧している画面やメールの作成をiPhoneに受け継いだりすることができるHandoff、iPhoneのインターネット共有機能をMacから遠隔操作することができるInstant Hotspot、MacとiOSとの間でファイル共有を可能とするAirDropが搭載されるなど大きな進化を遂げています。
通知機能も進化しウェジェットなどを追加することが可能となっています。
OS X 10.10.3からは新しい写真アプリも搭載されiPhoneやiPadで撮影した写真を共有することが簡単に行うことが可能となりました。
システム環境設定のアイコンもブラッシュアップされています。
OS X El Capitan
- バージョン:10.11
- リリース日:2015年9月30日
- 価格:無料
- バージョン:v10.11 〜 v10.11.5
OS X Yosemiteをブラッシュアップしたバージョンとなっており、システムの安定性が向上し性能が低いMacにおいても快適に動作するように改良されています。これにはグラフィックAPIのMetalがシステム部分にも実装されたことによりドローコールは10倍、レンダリングは50%の高速化を実現しており、アプリの切り替えやプレビューなどの動作が快適に。
機能面ではフルスクリーンモードが拡張されアプリを2画面並べて操作することができるSplit View、日本語入力システムにてスペースキーでの変換を自動的に実行してくれるライブ変換機能などが搭載されています。
また英数字のシステムフォントがAppleが開発したSan Franciscoに変更されました。
実際に使ってみてYosemiteに比べても快適に動作し、非常に安定しているOSに仕上がっているように感じます。
macOS Sierra
- バージョン:10.12
- リリース日:2016年9月
- 価格:無料
- バージョン:v10.12 〜
WWDC 2016にて正式に発表されました。名称の規則性を整合するためにOS XからmacOSに変更されたバージョンとなりますが、2世代前のOS X Yosemiteからの流れを引き継いだOSとなっています。
新機能としてはiOSの音声アシスタントSiriがMacでも利用できるようになり、音声でファイル検索をすることができるようになるなど、大きく使い勝手が変化しています。
他にもiOSとの連携機能が強化されユニバーサルクリップボードで文章作成においての利便性が向上、使っていないファイルを自動的にiCloud Driveに移動したり重複しているファイルを削除したりする機能、違うアプリ同士で一つのウィンドウにまとめることが出来るタブ機能などが搭載されます。
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