iOS11はHEIC/HEVC(H.265)で写真と動画のデータ容量を50%縮小する事が可能
iOS11の新コーデックHEIC/HEVC(H.265)
iOS11では写真と動画のコーデックが新世代のものを採用しており、カメラアプリで写真撮影や動画撮影をすることで、今までの画質を維持しながら50%ほどの保存データの容量を縮小する事ができ、保存容量がより大きい4K動画でもより効率的に保存をする事が可能となっています。
写真の拡張子は「.jpg」から「.heic」に
iOS11ではカメラで撮影した写真や動画をHEVCと呼ばれる効率的な新しいアルゴリズムを利用して圧縮する機能が搭載されており、画像ファイルはHEIF形式で保存され拡張子は「.jpg」から「.heic」となります。
実際に両フォーマットで撮り比べをして見たところ、今までの.jpgで撮影された画像は1.9MBの容量があるのに対して、.heicで撮影された画像は924KB(約1MB)と大きく容量が縮小されているのが分かります。
動画のエンコードは「H.264」から「H.265」に
動画の拡張子は「.mov」のままですが、エンコードが「H.264」から「H.265」に変更となっています。macOS上での詳細情報では「HEVC」という形式になっていますが、H.265はH.264/MPEG-4 AVCの後続フォーマットでHigh Efficiency Video Coding(HEVC)とも呼ばれている規格となっています。
4K@30Hzで1分ほど撮影した動画の容量を確認してみたところ、H.264で撮影された動画は344MB、HEVCで撮影された動画は171MBと半分ほどの容量で保存できている事が分かります。
互換性について
HEVC形式はA9チップを搭載したiOSデバイスでiOS11がイントールされたデバイスであれば自動的に有効になるように設定されており、MacはmacOS High Sierra 10.13であれば写真アプリにてHEVC形式で取り扱う事が可能となっています。
HEVCに対応していたiOS10やmacOS Sierra 10.12でも「設定」→「写真」の「MACまたはPCに転送」という項目を「自動」に設定しておく事で、転送時に自動的にjpgデータに変換してくれるので、旧OSでも問題なく取り扱う事が可能となっています。
変換すると拡張子は「.heic」ではなく「.jpg」に変換され容量が大きくなります。なお、HEICの画像を「元のフォーマットのまま」で、旧バージョンのmacOS Sierra 10.12の写真アプリで読み込むことはできますが、カメラの情報などは正常に取得されないので旧OSを並行して利用する場合は必ず「自動」に設定しておきましょう。
また、HEICに対応しているmacOS High Sierraでも写真アプリからOSに直接ダウンロードした時点で拡張子が「.heic」から「.jpg」に変換されデータ容量が大きくなってしまいます。つまり、iOS11とmacOS high Sierraの写真アプリ間のみHEVC形式で保存されることになるようです。
「heic」に対応しているOS
heicに対応しているOSは2017年9月現在、iOS11とmacOS High Sierra以外は対応していません。
- iOS 11
- macOS High Sierra(10.13)
iOS10、macOS Sierra(10.12)、Windows 10(2017年9月現在)、Androidは対応していません。
「HEVC(H.265)」に対応しているOS
HEVC(H.265)に関してはWindows 10やAndroid 5.0以降であれば対応しています。
- iOS 11
- macOS High Sierra(10.13)
- Windows 10
- Android 5.0 以上
iOS10、macOS Sierra(10.12)、Windows 8.1、Android 4.4.4は対応していません。
どちらのフォーマットを使うか設定できる
ちなみに「設定」→「カメラ」の「フォーマット」から新規格の「HEIF/HEVC」か従来の「JPEG/H.264」のどちらを設定する事ができるようになっています。
「HEIF/HEVC」が「高効率」で「JPEG/H.264」が「互換性優先」となります。
写真アプリ以外の社外製アプリで写真を多用するのであれば「互換性優先」に設定しておいたほうがいいのかもしれません。
画質の違いについて
念のために「.jpg」と「.heic」の画像を比較してみました。
見た感じ、同じですね。少しくらい場所のノイズもさほど違いがないように見えます。JPEGからHEICになり画像の圧縮率が上がったからといって画質が低下しているわけではないようです。また、HEVC(H.265)でエンコードした4K動画もH.264と同等の画質となっており、品質を維持しながら保存容量を50%ほど縮小させているのが、なかなか凄いですね。
まとめ
近年はカメラの画素数がさらに大きくなったり4K動画撮影がメジャーになったこともあり、写真や動画のデータ容量が大きくなっており、スマートフォンやタブレットのストレージ容量も大きくなる傾向がありました。しかし、iOS11から導入された新しいエンコード方式によってデータ容量を縮小することができるようになるので、ストレージ容量が少ないiPhoneやiPadでも気軽に4K動画撮影などを行うことができそうですね。